ソマト・エモーショナルリリース(SER)

ソマト・エモーショナルリリースは、米国を中心とした海外で人気のタッチセラピーである、クレニオセイクラルセラピー(CST)の発展形であり、クレニオセイクラルセラピーの過程で【起こり得る】現象です。

英語で表記すると、Somato-Emotional Release:SERとなり、日本語では『体性感情解放』となります。

SERは、私たちの心身の深い部分に届き、長年にわたる心身の不調を改善へと導く可能性があります。

この記事ではSERについて、私が体感した経験を中心に語りたいと思います。

CST国際インストラクター、オルシ先生と。

SERとは

SERは、心身の機能・構造的問題や、肉体的・精神的トラウマが強烈に解放され癒されるサインです。

SERでは例えば、

・発達障害を持つ小児がセラピー中に叫び声をあげたかと思ったら、その後深く眠りにつき、覚醒後に徐々に学習能力が同年代の子供たちと同じ水準になっていく。

・筋骨隆々の屈強な男が幼児のようにすすり泣きを始め、自ら治療台を降りて床に寝そべって両腕で膝を抱え、あたかも胎児のような格好で眠りにつく。

・患者の意思によらず、頭や胴体手足が勝手に動き出す。

このように、常識では考えられないようなことが起こる場合があります。

クレニオセイクラルセラピーの創始者であるアプレジャー医師は、セラピーの過程で患者の体が勝手に動き回ったり、突然の感情の爆発が起こった後に、その患者の心身の問題が大きく改善することを何度も経験されました。

ご興味のある方は、アプレジャー医師の著書をご覧ください。

もうひとりのあなた

クレニオ・セイクラル・セラピ

SER中に、私たちの心身に何が起こっているのか。

それは、エネルギーシストの解放です。

エネルギーシストとは

この世に生を受け、今日に至るまで、我々の心身は様々な負荷を受け続けています。

それは出生時に既に始まっています。

産道を降りてくるときに生じる骨格への様々な圧力、帝王切開の場合は急激な気圧の変化を脳神経系に受けます。

子供の時に転んで頭を打ったり、尻もちをついて骨盤を強打したり。

強い衝撃を受けるコンタクトスポーツや格闘技を経験したり。

交通事故でむち打ち症になったり。

他者や愛する人から裏切られ、罵倒され、悲しみや絶望に暮れたり、肉体的精神的虐待を受けたり。

環境汚染物質や有害な重金属類によって細胞にダメージを負ったり。

様々な負荷・ダメージに対して、我々の心身はそれらを体外に逃がしたり、あるいは体内で散らしたりして、適応しようとします。

しかしながら、その能力にも限界があります。

限界を超えたダメージを、心身は次善の策として、『殻』を作って体内に閉じ込めようとします。

その際、物理的な衝撃だけでなく、その時に生じたネガティブな感情も一緒に殻に閉じ込め、経験自体を『無きもの』にしようと試みます。

物理的衝撃やネガティブな感情エネルギーが閉じ込められたこの殻を、エネルギーシストと呼びます。

このエネルギーシストは、我々の肉体、オーラ等と呼ばれるエネルギー体のありとあらゆる場所に存在します。

厄介なことに、このエネルギーシストが存在することにより、我々の心身が本来持つ流動性が妨げられます。

必要なものが必要なところに動き、不要なものは消失・排出され、時々刻々と生まれ変わる。

一言でいえば、自然治癒力です。生命活動そのものとも言えます。

そんな厄介なエネルギーシストですが、通常我々はこのエネルギーシストを認識できません。つらい衝撃や経験も、時間の経過とともに少しずつ記憶から薄れ、場合によっては忘れてしまいます。そして顕在意識・潜在意識のどちらにも上らず、我々の意識にとってエネルギーシストは存在しないものとなります。

ですが、そんなエネルギーシストをちゃんと記憶し、それを解消する手立てを知っている存在が、我々の中には居ます。

インナーフィシジャン

アプレジャー医師はその存在を、インナーフィシジャン/インナーウィズダムと呼称しました。

日本語に訳すと、内なる医師/内なる叡智となります。アプレジャー医師の著書のタイトル、『もうひとりのあなた』とはまさにインナーフィシジャンのことです。

インナーフィシジャンは、意識ではなく組織に刻まれた記憶であり、アプレジャー医師は顕在意識・潜在意識とは違うものとして、『非意識』と呼称しました。

SER中、このインナーフィシジャンは、様々な形、あるいは現象として姿を現します。時には人の形として、ある時は何かの動物として。音や感覚、感情として。光や闇として。

SERはこのインナーフィシジャンとアクセスし、力を借りて、エネルギーシストを解放していくプロセスなのです。

私(温の手)のインナーフィシジャン

私がこのインナーフィシジャンという存在に初めてお目にかかったのは、SERのセミナー中の治療デモでした。

はるばるハンガリーから来られた、講師オルシ先生のミニセッション中の出来事です。

30名をこえる参加者の前で私は患者役として椅子に座り、オルシ先生が私の左横に腰かけて私の左肩に触れました。

私は目を閉じて呼吸を整えていましたが、心地よい感覚はあるものの、それ以外にこれといって変わったことは起こりませんでした。そうこうしているうちに、オルシ先生が英語で、

『今、何か見えていますか?』

と優しく語りかけてきましたが、とくに何も見えなかったので、

『何も見えません』

と答えました。

正直、焦りました。

このまま何も見えず、何も起こらなかったら、せっかくのデモの機会を潰してしまい、会場が微妙な空気になってしまう(笑)

私の返答を聞いても、オルシ先生は別に動じることもなく、ただ穏やかに

『何も見えないんですね』

と答えたのみで、私の肩への穏やかなタッチを継続していました。

それから10秒ほど経過したところ、目を閉じた私の真っ暗な意識空間に、ぼんやりと光の様なものが姿を現し始めました。

ぼんやりとした光は徐々に集まり、形になり始め、最終的には頭から胴体の上あたりまで見える、光の人型に変わりました。

驚愕したのは、まさに光が人型になったと私が認識した瞬間に、オルシ先生が再び

『何か見えていますか?』

と訊ねたことです。続いて先生が、明らかに私ではなくその人型に対して、

『名前は何というのですか?』

と訊ねた瞬間、その人型の下に、

『ジョン』

と、文字が浮かび上がりました。私は『ジョン』と先生に告げました。

先生に名前を告げた刹那、ゆっくりと私の頭が動き始めました。SERが始まったわけです。

前に倒れ、ゆっくり右へと回旋し、天井を見上げたかと思ったら今度は左へ。円や八の字を描き、グルんと一気に動いたかと思ったらスローダウンし、完全に静止したかと思ったらまた動き出し・・・

意識的にその動きを止めようと思えば止めれたと思いますが、なぜか止めたくありませんでした。

無意識のその動きが、とても心地よかったからです。

『ジョン、この方がもっと健康になるには、どうすれば良いと思いますか?』

首をぐるぐる回している私、ではなく『ジョン』に、先生はおだやかに語りかけました。

先生は英語で語りかけていたので、英語が分からない私には通訳なしに内容が理解できないのですが、不思議なことに先生が英語で質問を始めた瞬間に、私のイメージのなかで光り輝いているジョンの下に、

『歩け』

という文字が浮かび上がりました。これには驚愕しました。通訳がオルシ先生に続いて、上記の質問を翻訳してくれる前に、『歩け』という答えが既に出ていたからです。

その後もオルシ先生と『ジョン』の対話は続き、私の頭は変わらず動き続けました。時間にして10分ほどだったと思いますが、1時間でもそうしていたいほど、心地よい経験でした。

私の場合は、その日のうちに心身の変化を感じることができました。

私にはこれまで、どうしても赦せない人が存在していました。憎悪に近い、激しい怒りの対象です。

これまでであればその人の事を考えるだけで、体が硬く呼吸が浅くなり、頭と首が重く痛み出し、とても憂鬱な気分になったものですが、セッション後はそういった不快な症状や感覚が完全になくなり、むしろその人と会って話したいと本気で思うようになりました。

私の中にあったエネルギーシストが消え、解放された瞬間でした。

その後も、受講生同士の練習において、私が治療台の上で手足をバタつかせながらグルっと180°回転したり、私の相手の方が不思議なビジョンを見たりと、とても楽しい経験でした。

SERは『起こり得る』もの

この記事の冒頭において、SERは『起こり得る』ものだ、と敢えて誇張しました。これには理由があります。

SERが起きるか否か、どのようなSERが起きるか。すべての選択と決定権は、インナーフィシジャンにあるからです。

セラピストがやることは、SER発動のサインを感じ、タッチと言語・非言語的な問いかけを通してそれとなく促すだけです。

主役はインナーフィシジャンであり、セラピーを受ける人です。

セラピストはSERの場の提供者として、アシスタントとして、SERに立ち会うのです。

人によっては、何かしらのSERによってすぐに心身の不調が改善するかもしれませんし、エネルギーシストが強固であれば、複数回のSERが必要になる可能性もあります。

またSERは、その人にとって目を背けたくなるようなイメージを生じさせたり、辛い記憶を再体験させるかもしれません。しかしそれは、その人が前に進むために、本来の人生を取り戻すために必要だと判断し、インナーフィシジャンが見せているものです。

私もクレニオのセラピストとして、SERに立ち会えることを光栄に思い、お客様のこれからの人生がより良きものになるよう、全力でサポートしていきます。

この記事を読んでいるあなたが、セラピスト、もしくはセラピストを目指している者であり、クレニオにご興味がある場合は、ぜひアプレジャーインスティチュートのセミナーを受講することをお勧めします。

アプレジャーインスティチュート・日本支部HP

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